米国特許商標庁(USPTO)の新特許出願システム(PCS)について | 協和特許法律事務所

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米国特許商標庁(USPTO)の新特許出願システム(PCS)について

カテゴリ: IPニュース 公開日:2022年12月12日(月)

 2022年1月1日からUSPTOへの特許出願の書類(明細書、クレーム、要約および図面)は、パテントセンタシステム(PCS)を通じて、DOCX形式で提出することが可能となりました。


 一方、図面以外の書類(明細書、クレームおよび要約)をDOCX形式以外の形式(例えば、PDF)で出願する場合、2023年1月1日より400ドル(Small Entitiesは200ドル)の追加手数料が課せられます。図面は、DOCX形式で提出することも可能ですが、PDFで提出しても追加手数料は課せられません。尚、追加手数料の課金については、2022年1月1日から開始予定でしたが、2022年12月31日まで延期され、2023年1月1日から開始される予定です。


 DOCX形式は、35USC111(a)に基づいた特許出願のみに適用されます。即ち、通常の特許出願(non-provisional patent application)の他、継続出願、および分割出願に適用されます。一方、それ以外の仮出願、PCT国内移行出願、意匠出願には適用されません。例えば、パリルートでの米国特許出願については、DOCX形式で出願しないと、追加手数料が課せられますが、PCT出願から米国へ国内移行する場合には、DOCX以外の形式(例えば、PDF)で出願しても、追加手数料は課せられません。ただし、PCT出願に基づき米国へバイパス継続出願する場合には、DOCX形式で出願しないと、追加手数料が課せられます。

 

※ Error(エラー) とWarning(警告)について:

DOCX形式で明細書等を提出する際に、データが分析されて“Error”と“Warning”がフィードバックされます。フィードバックドキュメント内にErrorがあると出願することができません。Warningのみの場合には、出願は可能です。Errorによってパテントセンターによって受け入れられない場合、出願日は付与されませんのでご注意ください。もし、Errorを修正するのに十分な時間がない場合、PDF形式で出願し、追加手数料400ドルを支払うという対処も必要かと思います。

 

 DOCX形式での出願には、以下のような形式的要件が課せられます。

 

1.DOCX形式のワードファイルである必要があります。

 

2.フォントが「別紙1」のように制限されます。フォントが指定以外のものである場合、Errorとなります。


3.明細書のセクションヘッダが「別紙2」のように制限されます。セクションヘッダが指定以外のものである場合、Errorとなります。

 

4.明細書、クレーム、要約および図面の各ページは、全て縦長ページ(portrait)である必要があります。横長ページ(landscape)はErrorとなります。


5.MathMLやChemDrawのような方程式または化学式編集用ソフトウェアについてはサポートされています。


6.段落番号が必要になります。一方、行番号は削除する必要があります。段落番号が全くない場合、Errorとなります。ただし、段落番号の重複や不連続、一部の欠落はwarningとなり、出願自体には問題ないと思われます。


7.明細書、クレーム、要約および図面の各ページの余白が次の通り制限されます。
トップ2.0cm(3/4インチ) 左2.5cm(1インチ) 右2.0cm(3/4インチ) 底部2.0cm(3/4インチ)。余白違反は、Errorに繋がる可能性があります。


8.ブックマーク、ハイパーリンク、コンテンツコントロールのような機能は、Errorとなります。

 パートナー・弁理士 赤岡 明

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