欧州統一特許裁判所協定(UPCA)に関するご案内 追加情報:UPCA発効日について | 協和特許法律事務所

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欧州統一特許裁判所協定(UPCA)に関するご案内 追加情報:UPCA発効日について

カテゴリ: IPニュース 公開日:2022年10月25日(火)

 統一特許裁判所協定(UPCA:Unified Patent Court Agreement)が2023年4月1日頃に発効する見通しとなりました。(ドイツが2022年12月に批准書を寄託する見込みで、その4か月後に発効予定)。
 

 統一特許裁判所(UPC)は、単一効特許および従来の欧州特許に関する取消手続および侵害訴訟を管轄する裁判所です。UPCA発効後、従来の欧州特許(登録済みの既存の欧州特許を含む)に関する訴訟は、特許権の有効な各移行国の裁判所と統一特許裁判所との両方が管轄可能となり、いずれにも提起することができます。単一効特許だけでなく、従来の欧州特許の訴訟に関しても、統一特許裁判所が下した判決は、EPCの全移行国(UPC非参加国*1を除く)に対して効力を有します。例えば、従来の欧州特許に基づいて統一特許裁判所に訴訟を提起すれば、EPCの全移行国(UPC参加盟国*1を除く)で訴訟が提起されたものと同一の効果を有します。一方、統一特許裁判所で従来の欧州特許が取り消されると、EPCの全移行国(UPC参加盟国*1を除く)において特許権が無くなります(セントラルアタック)。
 

 このようなセントラルアタックを回避するためにオプトアウトという手続きがあります。オプトアウトは、移行期間(UPCA発効から7~14年間)において、従来の欧州特許(登録済みの既存の欧州特許および係属中の欧州特許出願を含む)に関して、統一特許裁判所の管轄を除外する手続きです。オプトアウトすることによって、統一特許裁判所が管轄から外れるので、従来の欧州特許で得られた各移行国の特許権が上記セントラルアタックによって一括で取り消されるリスクを回避できます。オプトアウトした欧州特許については、各移行国における裁判所で訴訟を提起することになります。また、オプトアウト後であっても、オプトインすることで1度に限り統一特許裁判所の管轄に戻ることもできます。
 

 オプトアウトの手続きは、UPCA発効前のサンライズ期間(UPCA発効の3ヶ月前(2023年1月1日~開始される見込み))から手続き可能となります。サンライズ期間にオプトアウトの手続きを済ませることによってセントラルアタックのリスクを回避できます。従って、オプトアウトをご希望の場合には、サンライズ期間に手続きすることが望ましいです。尚、サンライズ期間の経過後(即ち、UPCA発効後)であっても上記移行期間内(UPCA発効から7~14年間)であれば、オプトアウトの手続きは可能ですが、セントラルアタックを受ける可能性はあります。
 

 上記を踏まえ、欧州特許に関してオプトアウト要否を予め検討し、サンライズ期間の開始後速やかに手続きを開始できるよう準備しおくことをお勧めいたします。
 

 なお、単一効特許(UP)、統一特許裁判所(UPC)、オプトアウトについて、より詳しくは、下記リンクをご参照ください。
 https://www.kyowapatent.co.jp/ipinfo/news/2022-06-08-07-27-16

 

*1:UPC非参加国は、例えば、イギリス、スイス、スペイン

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