米国特許商標庁による新たなパイロットプログラムの 試行のお知らせ [Post-prosecution Pilot Program(P3)] | 協和特許法律事務所

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米国特許商標庁による新たなパイロットプログラムの 試行のお知らせ [Post-prosecution Pilot Program(P3)]

カテゴリ: IPニュース 公開日:2016年07月19日(火)

米国特許商標庁は、2016年7月11日付けで、新たなパイロットプログラム「Post-prosecution Pilot program(P3)」の試行を始めました。


1.Post-prosecution Pilot program(P3)の概要

「Post-prosecution Pilot program(以下、P3と記します)」は、拒絶査定謄本(Final Rejection)送達後に、出願手続を継続することができるプログラムです。出願人は、拒絶査定謄本が送達された出願に対して、P3を申請することができ、P3を申請することにより、出願手続が継続されます。このP3により、拒絶査定後の審査手続を充実させること、並びに審判請求および継続審査請求(RCE)の数を減少させることが望まれています。
P3は、現在試行されているAfter Final Consideration Pilot 2.0(AFCP2.0)(※1)およびPre-Appeal Brief Conference Pilot Program(※2)の特徴を組み合わせているとともに、新しい特徴を有しています。主なポイントは以下の通りです。


(1)P3の特徴

①意見書および補正書

P3を申請する場合、出願人は、5ページ以内の意見書を提出することができます。
また、P3では、1つ以上のクレームについて、拡大または拡張しない範囲において補正が認められています。
ただし、AFCP2.0とは異なり、この補正をせずにP3を申請することもできます。
なお、この場合の補正書のページ数は、P3の申請時に提出した意見書のページ数には含まれません。


②質疑応答

出願人(または代理人)は、現実に審査した審査官のみならず、P3に関わる他の審査官に対しても、電話等を利用した質疑応答(oral presentation)をすることができます(20分以内)。この場合、現実に審査した審査官の上司に対しても質疑応答ができるものと考えられます。


③P3での決定

P3では、以下のいずれかの決定がなされます。
Ⅰ.拒絶査定を維持
Ⅱ.特許査定
Ⅲ.P3による再審理
なお、拒絶査定が維持された場合、期間内であれば審判請求または継続審査請求をすることができます。


(2)申請期間

出願人は、拒絶査定謄本送達後2月以内であって、審判請求書提出前に、P3の申請書および関連する書類を提出しなければなりません。
ただし、出願人が、AFCP2.0の申請書を既に提出している場合、またはPABCの申請書を既に提出している場合(審判請求書と同時に書面(Pre-Appeal Brief Request for Review)を提出している場合)には、P3の申請書を提出することはできません。
また、一旦、拒絶査定に対する応答についてのP3の申請書が受理された場合、審査官から要求がない限り、追加の意見書等の提出は認められません。


(3)費用

P3の申請には、費用はかかりません。


2.試行期間

2016年7月11日から2017年1月12日までです。
ただし、米国特許商標庁が1,600件のP3を受理した場合、P3は終了します。


3.その他

詳細な情報は下記米国特許商標庁HP等にてご確認頂けます。

【Post-prosecution Pilot program(P3)について】(米国特許商標庁HP)
http://www.uspto.gov/patent/initiatives/post-prosecution-pilot
【Federal Register /Vol. 81, No. 132 /Monday, July 11, 2016について】
https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2016-07-11/pdf/2016-16423.pdf



※1After Final Consideration Pilot 2.0について
「After Final Consideration Pilot 2.0」は、最終拒絶理由後の応答に対して、審査官の考慮を促進するプログラムです。
審査官が一定時間内に当該応答を考慮することができると判断した場合、継続審査請求をすることなく、補正等が認められます。
このパイロットプログラムは、2016年9月30日まで試行期限が延長されています。

【After Final Consideration Pilot 2.0について】(米国特許商標庁HP)
http://www.uspto.gov/patent/initiatives/after-final-consideration-pilot-20


※2Pre-Appeal Brief Conference Pilot Program について
「Pre-Appeal Brief Conference(PABC)」は、審判請求書の提出後、実体的な審理を開始する前に、拒絶理由の法的根拠および事実上の根拠が存在していたか否かを、Appeal Brief(審判請求理由補充書)の提出に先立ち、a Panel of Examination(審査官(現実に審査した審査官とその上司を含む))により、公式に検討してもらうことができるプログラムです。
審査官が審判手続不要と判断した場合、審判請求理由補充書を作成するための時間と費用を節減できます。
このパイロットプログラムは、2005年7月12日から試行されています。

【Pre-Appeal Brief Conference Pilot Programについて】(米国特許商標庁HP)
http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/og/2005/week28/patbref.htm


文責:弁理士塙和也

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